スギ花粉症に効く治療法はありません。そして、花粉症は日本人特有の症状で、海外では花粉症という病気がないため治療薬の研究結果が無く、参考にすることができない状況です。日本国内だけで研究が行われ10年以上経った2014年に保険適用になった舌下免疫療法(シダトレン)についてまとめました。
目次
舌下免疫療法(シダトレン)の治療法
今までスギ花粉症の免疫療法は、スギ花粉を含んだ注射液を低濃度から高濃度に徐々にあげながら注射するというもの。週1回の注射を4~6ヶ月続けて、高濃度になったら1ヶ月に1回3年以上続けていくものでした。
舌下免疫療法(シダトレン)は、注射ではなく舌の裏にあたる舌下に液を滴下し、2分間は液を残したままにして、その後飲み込みます。2週間で量を増やし、3週間目からは同じ量の液を毎日舌下に滴下します。通院は最初の1回のみで、それ以降は家で自分ですることができます。
舌下免疫療法(シダトレン)の治療ができない期間
舌下免疫療法(シダトレン)は、いつでも受けることができるという治療ではありません。スギ花粉が飛散している1月から5月は、治療を始めることが出来ません。そのため、花粉症になったから治療を受けたいとシダトレンを希望しても6月や7月の初夏にならないと受けられません。
舌下免疫療法(シダトレン)は3ヶ月前から始めると効果的
舌下免疫療法(シダトレン)の治療をはじめるのに一番効果的なのは、花粉が飛び始める3ヶ月前です。10月頃から治療を始めることでスギ花粉が飛び始める時期に効果が期待できます。
舌下免疫療法(シダトレン)の治療ができるのはスギ花粉のみ
花粉症には、ハンノキ・スギ・ヒノキ・シラカンバ・イネ科・ブタクサ・ヨモギ・カナムグラ・カモガヤなどがありますが、スギ花粉症だけが対象となっています。
舌下免疫療法(シダトレン)の対象年齢
対象年齢は12歳以上となっています。6歳から11歳までの子供に舌下免疫療法(シダトレン)をすることもできますが、保険適用外になっています。病院で相談してみてください。
次の6つの症状を持っている人は受けることができません。
- 妊娠しているおよび、近いうちに妊娠希望の人
- 重症の喘息を合併している
- 重い心臓の病気を合併している
- 癌の治療をしている
- 免疫不全などの病気のある人
- 治療で免疫抑制剤を使用している
舌下免疫療法(シダトレン)の効果
舌下免疫療法(シダトレン)でスギ花粉症が治るのかどうかですが、
- 完治したという人・・・20%
- 少し花粉症の症状が出る程度・・・30%
- 改善されている・・・30%
という結果があり、シダトレンを行なった人の約80%が、その効果を実感しています。ただ、すぐに効果が現れるというものではないため、飲み薬と併用することで症状が和らげることができると理解しておきましょう。
舌下免疫療法(シダトレン)の副作用
シダトレンは、自然のスギの花粉の成分を抽出しています。そのため、副作用は少ないと考えられます。ただ、アレルギー反応を起こす可能性があり、これは副作用とは言わず、副反応といいます。注射よりもアレルギー反応が軽くて効果が高いと言われています。
舌下免疫療法(シダトレン)の取り扱い病院
どこの病院でも受けられる訳ではありません。きちんと講習を受けた医師しかできませんので、お近くに受けられる病院があるか「 舌下免疫療法相談施設検索 」で探してみましょう。
舌下免疫療法(シダトレン)の費用
花粉症治療よりも若干安い価格になっています。治療費と薬代は3割負担で1ヶ月2,000円~2,500円程度、長期間継続して治療が必要になり、治療開始前の検査・1年に1回の検査で5,000円ほど別で費用が掛かります。
花粉が飛ぶときだけの免疫療法と比べても、そんなに変わらないか、若干安くなると思います。
舌下免疫療法(シダトレン)の治療期間
継続的に長期間の治療が必要で、まずは2年間行ない効果の確認をすることが多いです。効果が見られる場合には、さらに2~3年程度の治療期間を設けるため、4~5年間の治療が必要になります。
治療期間が長期間になるのには、このシダトレンの効果が初年度よりも2年目、2年目よりも3年目、3年目よりも4年目と効果が高くなることが分かっています。これは体の免疫力が高まるからです。
まとめ
舌下免疫療法(シダトレン)は、花粉が飛散する直前または飛散している時期には、効果が無いだけでなく、安全性に問題があります。スギ花粉が飛散するのが1月からなので、遅くても12月から始める必要がありますし、今年にある程度の効果を考えるなら花粉が飛ぶ3ヶ月前から治療をすることをおすすめします。そのため、治療開始時期は、6月~11月までの間に始めるのが理想的です。