頭痛がしても、頭痛薬を飲んでおけば大丈夫と軽く思っていることが多くあります。頭痛持ちのの人に関しては、しばらく我慢していれば治まるからと軽視しがちですが、二次性頭痛の場合には、頭の痛みが危険を知らせてくれていることがあります。
二次性頭痛に分類される10個の病名と症状、頭痛との関連性についてお伝えします。
目次
二次性頭痛に分類される10の症状
頭痛には、「 一次性頭痛 」と「 二次性頭痛 」があります。一次性頭痛は、頭痛の症状のみを改善することに対し、二次性頭痛は頭痛を引き起こしている他の症状が隠れていることを意味しています。放置しておくと手遅れになり危険な状態になることがあります。
いつもの頭痛と痛み方が違う、頭痛の時間が長いなど、いつもと違う頭の痛みを感じたら早めに検査を受けることをおすすめします。
二次性頭痛に分類される10個の症状と頭痛との関連性をまとめました。
二次性頭痛とは?
頭痛には「一次性頭痛」と「二次性頭痛」の2つがあります。
一次性頭痛は他の疾患のない単独の頭痛
二次性頭痛は他の疾患が原因で起こる頭痛
頭痛患者の約9割は「一次性頭痛」であり、残り1割が二次性頭痛です。二次性頭痛の原因の中には、脳卒中・脳出血のように「見逃すと命の危険に結びつくような頭痛」が含まれていることがありますので注意が必要です。
一次性頭痛の症状としては、片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛・後頭神経痛・薬剤誘発性頭痛あります。二次性頭痛には、くも膜下出血、脳卒中、脳腫瘍、髄膜炎等の感染症による頭痛、高血圧からくる頭痛、心身症などの精神疾患による頭痛、椎骨動脈解離などによる頭痛もあります。
脳腫瘍と頭痛の関係
脳腫瘍は頭蓋骨内部に発生する腫瘍で大脳や小脳などの脳実質に腫瘍が発生する疾患です。脳は、非常に精巧な組織のため、小さな腫瘍でも大きな障害や症状をきたすことがあり、その1つに頭痛が関係しています。
脳腫瘍により脳実質が変性・圧迫された結果、神経症状を生じたり、血液供給が保てない、筋緊張が異常に続くといった症状を引き起こしてしまい、二次的症状として頭痛を引き起こします。腫瘍の影響だけではなく、直接的に頭痛を引き起こすこともあります。
脳腫瘍のときに発生する頭痛以外の症状としては、痙攣・手足の麻痺・しびれ・ろれつがまわらない・めまいなどの症状があります。
クモ膜下出血と頭痛の関係
クモ膜下出血は、脳の動脈にできた動脈瘤が、突然破裂して出血をする症状です。クモ膜下出血は、ハンマーで殴られたような激しい頭痛が起きるのが特徴となっていて、夜間や早朝に起こりやすいです。
大変危険な症状で、命に関わることが高いので、激しい頭痛を感じるときは、緊急を要するため、すぐに病院で診てもらう必要があります。軽度の痛みが数日続く場合も、病気を発症する可能性があり、気になる症状が見られたら、脳神経外科を受診する必要があります。
クモ膜下出血のときに発生する頭痛以外の症状は、吐き気や嘔吐・首の後ろが固い・意識障害・高血圧症・脂質異常症・糖尿病・高尿酸血症などの症状があります。
脳出血と頭痛の関係
脳出血とは、脳の血管に血栓がつまり、脳内の血管が何らかの原因で破れて、脳が出血した状態を指します。発作は、突然の頭痛や嘔吐など意識障害を起こして初めて気付きます。
高血圧が原因となって引き起こされるケースが多く、前兆として軽い頭痛の症状や手足のしびれなどの症状が、見られます。脳の血管が破れるので、頭痛を起こす可能性が高く、脳出血と頭痛の関係は深いです。
高血圧の人で頭痛が続くようであれば、軽く見ずに早めに病院を受診することで予防になります。
もやもや病と頭痛の関係
もやもや病は、脳の血管が狭くなり、脳に送る血流が減ってしまい、血流を補うために新しい血管を作って送ろうとします。この血管は細く無数に分岐してもやもやした感じに見えることからもやもや血管と呼びます。血管が細いため詰まってしまったり、破れやすかったりすることから脳梗塞や脳出血を発症しやすいです。
原因が特定されていない難病として知られていますが、頭痛や半身まひ、けいれんなどの症状が一時的に起こることもあり、出血性の場合は激しい頭の痛みが起きることもあります。
一時的に症状が起きてもすぐにおさまることがあり、見過ごしてしまうこともありますので、頻繁に気になる症状が起きるときは、放置せず早めの診察を受けましょう。
脳動静脈奇形と頭痛の関係
脳動静脈奇形とは、本来なら毛細血管に分かれていくはずの血管が、異常な血管で動脈と静脈が直接繋がってしまう先天性の疾患です。動脈の強い圧力が直接静脈に加わってしまうため、クモ膜下出血や脳内出血を引き起こす可能性があります。
脳の血管に関係する疾患なので、頭痛や吐き気、手足のしびれなどの症状を引き起こすことがあり、症状が強い場合は脳出血が発生している可能性があります。
椎骨動脈解離と頭痛の関係
椎骨動脈解離とは、首の動脈が内側から裂けてしまうことです。原因としては、首をねじったりする動きやスポーツをすることで、血管に外傷が生じることで裂けてしまうと考えられます。
椎骨動脈解離の初期症状として頭痛があります。首の動脈が裂けるので、首筋から後頭部にかけて痛みが続きます。放置すると、脳梗塞やクモ膜下出血を発症する恐れがあります。
首の動脈が裂けてしまう要因は、首に自分の力で回す範囲を超える力が加わったときや、動脈硬化になりやすい30~50歳代の男性に多く見られます。
髄膜炎と頭痛の関係
髄膜炎とは、脳と脊髄を覆っている髄膜に細菌・真菌(カビ)・ウイルスなどが直接、感染して起こることが多い疾患です。
症状としては、発熱と寒気から始まり、頭痛がひどくなり、吐き気や嘔吐があります。首の後ろが徐々に張ってきて固くなり、意識低下やけいれんが起こることがあります。
乳幼児や子供も発症します。背筋や首のゆがみを直すのに首を強くひねるなどの施術をするようなマッサージやカイロプラクティックなどの療法は、危険の高い行為として厚生労働省が金知る必要があるとしています。
脳脊髄液減少症と頭痛の関係
脳脊髄液減少症とは、何らかの理由で髄液を包む硬膜に傷が入り、髄液が漏れ出し減少してしまうことで生じる疾患です。
頭痛やめまい、倦怠感や自律神経異常など、様々な全身症状が現れるのが特徴です。髄液が減少しているため脳が下垂し、頭蓋の底にある硬膜に圧力が加わるため、激しい頭痛を生じる場合があります。
そのため、起立性頭痛との関係が深く、主な症状として現れることが多く見られます。他にも脳脊髄液減少症は、片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛などを引き起こすとの報告もあります。
Barre-Lieou症候群と頭痛の関係
フランスの神経医BarreとLieouによって報告されたため、Barre-Lieou症候群と言われています。むち打ちなどによって、後頭部の神経が興奮し自律神経のバランスが崩れることで発症すると言われています。
症状は、自覚症状が中心となり、頭痛、眼のかすみ、息苦しさ、耳鳴り、人によってはちょっとしたことでも不安になり、パニックになってしまう人もいます。特に頭痛は多くみられる症状で、むち打ち後に症状が長く続くようであればBarre-Lieou症候群の可能性があります。
副鼻腔炎と頭痛の関係
副鼻腔炎とは以前は蓄膿症と呼ばれていました。急性のものと慢性的なものがありますが、どちらも鼻の近くにある副鼻腔に炎症が起き、膿が溜まります。
そのため、歯や頭が痛くなることが多く、頭痛と共に鼻水や鼻づまりが起きたり頭痛が何日も続く場合は、副鼻腔炎が関係していることがあります。朝起きたときに頭が痛かったり、頭を下にしたとき、痛みが強くなったりする場合は、特に副鼻腔の炎症が影響している可能性が高いです。
まとめ
頭痛は多くの人が悩んでいる症状ですが、いつもと違う痛みや頻度、期間で起こるときには、注意が必要です。特に、突発的に激痛が走るような頭痛は、血管の破裂が考えられますので、違和感を感じたら病院で診てもらいましょう。
頭痛には一次性頭痛と二次性頭痛があり、一次性頭痛の「他の疾患のない単独の頭痛」であればいいですが、二次性頭痛で命に関わる場合があることを知っておくといいです。頭痛で心配なことがあれば、かかりつけ医に相談してみましょう。一次性頭痛であれば、自分で痛みを緩和する方法もありますので、実践して和らげていくといいです。