高血圧の人にとって、余分な塩分を体外に出して血圧を下げてくれる「カリウム」は、血圧降下の代表的な栄養素です。
そのため、病院の先生からは塩分制限について毎回、うるさく言われます。
今回、韓国の翰林大学校医科大学を含む研究グループが、栄養学と食事療法の専門誌ジャーナル・オブ・ジ・アカデミー・オブ・ニュートリション・アンド・ダイエテティクスのオンライン版で「ナトリウムを取る量が多くても少なくても、カリウムを取る量が少ないと高血圧になりやすい」と2015年7月1日に報告しました。
24,000人による検証データ
ナトリウム、つまりは食塩は血圧を上げる原因になるとして、塩分摂取量を減らすことが高血圧の人には必要だと世界的に広まっています。
カリウムは高血圧だけではなく、脳卒中などの病気を減らす効果があるのではないかと注目を浴びています。
今回、報告した研究グループは19歳以上の24,000人を対象に、過去24時間の食べ物を思い出し、ナトリウムとカリウムを摂取した量と血圧の関連性を調べたそうです。
塩分の量に関わらずカリウムの量が血圧に影響する
検証結果によると、
塩分を摂る量が多いと拡張期血圧が高くなり、1kcalの重量で1mg増えるごとに0.21mmHg血圧が上がり、
カリウムを摂る量が多いと収縮期血圧が低くなり、1kcalの重量で1mg増えるごとに1.01mmHg血圧が下がったとのこと。
高ナトリウムで低カリウムのグループと低ナトリウムで低カリウムのグループは、基準グループより高血圧になるリスクが約20%高いというデータになったとのことで、塩分量が多少、多かったり少なかったりしてもカリウムが影響していることが分かったと。
カリウムの影響を相殺するナトリウム
カリウムを多く摂取し、同じだけナトリウムを摂取すると、ナトリウムがカリウムを相殺してしまうことがデータから出ている。
そのため、カリウムを摂取していても、ナトリウムよりも少ない場合には、高血圧のリスクが高まり、逆にナトリウムよりもカリウムを多く摂取することで高血圧の予防になる。
カリウムを多く含むバナナ、ほうれんそう、アボカド、納豆などが知られているので、食事の献立に役立てるといいですね。