健康には自律神経が関係しています。自律神経は自分の意志でコントロールすることができません。無意識に呼吸していたり、全身に血液が送られているのも自律神経の働きによるものです。
その自律神経のバランスが乱れることで、頭痛や吐き気・肩こりなどの症状が続きます。そのときには自立神経失調症の可能性があります。
目次
自律神経失調症とは
交感神経と副交感神経のバランスが、ストレスや疲労などにより崩れることによって起きる様々な症状の総称のことです。
自律神経は、呼吸や消化器などで生命の維持や調節を行い、自分の意思とは無関係に絶えず働く神経です。不眠や便秘、下痢などの目に見える症状や不安感や落ち込み、やる気が出ないなどの目に見えない症状まで様々な症状が見られます。
症状があるのに、検査などで異常が見つからないときに自律神経失調症と判断されることが多く、重要な病気を見落とすことにもなりかねないので、症状が回復しない場合にはセカンドオピニオンを検討するなど、治療は柔軟に行うことが大切です。
頭痛・吐き気・肩こりなどの症状が続くときは自律神経失調症が疑われますが、複数の症状が現れたり、体調によって変わったりしますので、自律神経失調症で現れる症状についてまとめます。
身体のふらつき感
地に足が着いていないようなふわふわとした感じがしたり、立ったり、歩いているときに安定感が無いと感じることがあります。ふらつきがひどいときや、めまいがするようなときは、人混みを避けるようにし、また、運転も控えましょう。
めまい
グルグルと回ったときの回転性のめまいを感じ、耳鳴りを一緒に感じることが多いです。めまいが続き、内科で検査をしてもらっても、おそらくはっきりした原因はわからないことが多いです。自律神経の乱れからくるもので、深刻な病気とは無縁のことが多いです。
微熱が続く
自律神経失調症は37度ちょっとくらいの微熱がでます。殆ど一日中、微熱が続くので、体がなんとなくだるく、寝込むほどではなく、我慢すれば、済んでしまいます。自律神経失調症の場合、交感神経と副交感神経が、正常に働かない状態なので、脳に炎症が起きます。
通常なら、夜、時間がくれば、人間の体は眠くなるようにできているのですが、そのサイクルが狂ってしまっているため、微熱が常に出て、神経の興奮状態が続いていて眠れなかったりします。
肩こりがひどい
自律神経失調症の人は、通常よりも交感神経が過剰に働き過ぎてしまうため、血管や筋肉が疲労しやすくなり、しかも自然治癒能力も低下するので、疲れが取れにくくなってしまいます。これにより、肩こりに悩んでいるという人が多く見受けられます。
自律神経失調症によって起こる肩こりは、通常の凝りよりも頑固で痛みが取れにくいため、マッサージなどをしてもなかなか解消されず、どうしても長引いてしまうことが多くあります。
頭痛がする
自律神経失調症になると体に様々な不調が現れるのですが、その中の一つに頭痛が挙げられます。痛み方は個人差がありますが、側頭部がズキズキしたり、後頭部が締め付けられるような痛みを感じる人が多いです。
症状が酷いときは、頭痛とともにめまいや吐き気をもよおすこともあります。症状が出たときには、暗い部屋でゆっくり休むようにします。
不眠症
自律神経失調症は、誰にでも起こりうる病気で、ストレスを抱え込んだり、夜勤の仕事をしていて、眠りたいのに寝られなかったりしていると、神経のバランスが、崩れて眠れなくなってしまいます。
単なる不眠症ではなく、脳の病気なので、適切な治療をしないと、いつまでたっても完治しません。特に、微熱やだるさ、肩こりなども伴うので、余計眠りを阻害する結果になってしまいます。
食欲がない
胃や小腸などの消化器官は副交感神経によって制御されています。それゆえ、副交感神経の働きを狂わせる自律神経失調症は消化器官の働きを低下させることになり、食べた物を消化できない、胃酸の出すぎで胸やけがするという不具合を引き起こすことで食欲が低下することがあり、ひどい場合には体が食べ物を受け付けないほどになります。
食欲が無くなったときは、消化器官を休めるために食欲が回復するまでは食事をとらない方がよく、回復してからの食事も消化の良いものを少量ずつ、よく噛んで食べるようにします。
吐き気がする
自律神経が乱れると精神的症状と身体的症状が現れてしまいます。身体的症状の中に吐き気があります。この症状は、二日酔いや食べ過ぎなどでも現れるため、放置してしまいがちですが、長い間、慢性的に吐き気が続いているときは、自律神経失調症の可能性があります。
自律神経が乱れると胃腸の調子が悪くなるケースが多く、またストレスがかかると症状が頻繁に現れることがあります。
汗の量が多い
自律神経失調症では、多くの副交感神経の働きが悪くなることで、交感神経が暴走し、汗の量が極端に増えます。また、逆に汗の量が極端に減るということもあります。それは、交感神経がきちんと働かなくなることが原因です。
汗をかかなくなると、体温調節ができなくなったり、老廃物が出にくくなったりといった影響があります。汗の異常には、甲状腺の病気の場合もあるため、気になる症状があったときには病院に相談しましょう。
手足が冷える
自律神経失調症は精神的なストレスや気温の変化など、外部からの刺激が長く続くと自律神経が体を守ろうと頑張りすぎてバランスを崩してしまって起こる病気で、様々な症状が起こりますが代表的な症状としては手足の冷えがあげられます。
手足に冷えが生じることによって体温調節ができにくくなるため、風邪をひきやすくなったり、腹痛や下痢、集中力の低下を招いたり、冷えによって毛細血管が収縮してしまうため疲労が溜まりやすくなったり、不眠などを招いてしまうことがあります。
動悸・息切れがする
激しい運動をしたわけでもなく、特に興奮するような理由もないのに動悸や息切れが起こるのも自律神経失調症の症状の一つです。動悸や息切れが起こる場合には、血圧が上昇していたり、胸に圧迫感を感じるといった症状が一緒に出ることもあります。
原因として考えられるのは、ストレスによって交感神経が高ぶり、緊張した状態になることで脈拍が早くなってしまうというものです。自律神経失調症の症状はストレスによって起こることが多くあります。
息苦しくなる
自律神経失調症の人は、なんとなく呼吸がしづらくて、息苦しくなるという人が多くいます。これは肺の筋肉の緊張が原因で起こるもので、肺が十分に膨らまないため酸素を少量しか取り込めなく、息が苦しくなってしまいます。
息が苦しいとつい一生懸命息を吸うことに集中してしまいがちですが、これは間違いで、逆に息をしっかりと吐くことを意識してあげると肺の筋肉が縮み、酸素が十分に入って行きやすくなり症状が改善します。
精神的不安定
気持ちが不安定になるなどの不調が起こっているのにも関わらず、内臓や器官に異変が認められるわけではないので、病院で検査を受けても異常なしという判断されてしまいます。自律神経失調症に見舞われると、身体の一部に痛みが生じることがあり、精神面以外にも変調が起こります。
精神不安定な症状としては、不安感・怒りっぽくなる・意味もなくイライライする・集中力の低下・意欲が続かない・やる気が出ない・悲しくなる・寂しくなるなどがあります。
喉の痛み
いつも喉の痛みを感じるようになります。身体の一部が痛いということは、精神的に落ち込んでしまうきっかけになるので、より一層自律神経失調症が悪化する要因になり悪循環になります。しかも、喉の痛みというのは、風邪の初期症状に似ているので、放置させてしまいがちですが、症状を悪化させる原因になり「慢性咽頭炎」になることがあります。
蕁麻疹が出る
自律神経失調症は、精神的に具合が悪くなるというだけではなく、身体のどこかが痛みを生じるということがあります。しかも、痛みのみならず蕁麻疹をはじめとする発疹が見受けられることがあります。
過度なストレスと疲れから起きる蕁麻疹で、疲れが溜まってきたときに出たり、入浴して温まったり、睡眠時に出ることが多く、掻いてしまうと広がってしまいまいますので、冷やしたりして広がらないようにします。
手足のしびれ
皮膚がヒリヒリと痺れたり、電気が走るような痛みを感じたり、感覚がおかしいと思う麻痺のような症状が現れます。身体に他の病気の問題がないときには、自律神経失調症の可能性が高いです。
手足がしびれる病気としては、ストレスや緊張などがあると交感神経が優位になることで、末梢血管が細くなり血流が悪くなり、末端冷え性。頚椎や腰椎に問題があるときのしびれ。過呼吸による手足のしびれがあります。
髪の毛が抜ける
自律神経失調症といえば、精神的に酷く落ち込むというイメージが持たれがちですが、中には、髪の毛が抜け落ちてしまったり、薄毛に悩む方もいます。内面のみならず、外見にも変化が生じてしまうので、別人のように変わってしまうこともあります。
髪の毛を失うことは、大きな精神的な負担になりますので、自律神経失調症が治りにくいと言われています。
全身の倦怠感・だるさ
ストレスや不規則な生活、あるいは偏った食生活が有る程度続くと、体が正常に保とうとする能力を超える為、体のバランスが崩れてしまいます。その結果、体調が悪くなったり、気分が安定しなくなったりといったことが起こりやすくなります。
そして、特に激しい運動をしているわけでもないのに、体が異様にだるい状態がつづくという場合は、自分でコントロールの出来ない自律神経の不調が考えられます。
まとめ
交感神経のバランスを整えるための方法としては、生活習慣を見直し、食生活を改善することが必要になります。
その他には、
腹式呼吸で深い呼吸をすることで脳まで酸素を届ける
体内時計をリセットするために日光を浴びる
ウォーキングやストレッチなどの軽い運動をする
質の良い睡眠をとる
などの方法があります。自分にあった方法で自立神経を整えるようにすると症状の緩和につながります。