大阪大学やバーミンガム大学などの研究チームによる「インフルエンザ予防接種を打つ時間」についての論文が発表されました。その内容は、インフルエンザウイルスの予防接種を行なう時間は午前中が効果的だという研究結果となっています。仕事帰りや保育園・幼稚園・小学校などの帰りにインフルエンザを打ちに行くというのではなく、朝にワクチン接種をしたほうが効果があるといいます。
研究内容について確認し、午前と午後で、どんな違いがあり、どのような効果が高まったのかを調べました。でも、午前中にインフルエンザ予防接種を行なうことでのリスクもありますので、合わせてお伝えしたいと思います。
目次
朝のインフルエンザ予防接種で抗体が4倍になる
インフルエンザ予防接種でワクチンを打てば、若干の個人差はあっても免疫力に大差は無いと思っていました。でも、大阪大学やバーミンガム大学などの研究チームによる「交感神経および免疫システムの特性に関する研究」の結果は下記の通りです。
大阪大学の研究チームによる研究結果
大阪大学が発表した研究チームは、マウスによる実験を行なった結果となっています。マウスでの実験では、抗体を作る免疫反応が強くなる時間帯を突き止め、その時間帯にワクチン接種をすると効果が期待できるというものです。マウスに午前1時と午後1時に分けてワクチン接種を行ない、抗体の量を比較したところ、昼間に打ったほうが4倍も抗体が高いことが分かりました。
バーミンガム大学の研究チームによる研究結果
バーミンガム大学の研究チームが専門誌「Vaccine(ワクチン)」2016年5月号で発表した論文によると、65歳以上の高齢者276人を対象に午前9時~11時の間にワクチン接種したグループと、午後3時~5時にワクチンを注射したグループに分けて、体内にできる抗体の数を比較しています。
その結果、午前中の9時から11時にワクチン接種をしたグループのほうが、16%~293%も抗体の量が多かったという研究結果になっています。
ただし、抗体が多いからと言ってインフルエンザに罹らないということまでは分かっていません。それに今回は65歳以上の高齢者を対象にした研究結果であり、子供や若い人にも同じ効果があるのかは分かっていませんが、午前中にインフルエンザ予防接種をしたほうが効果があるのではないかということです。
増えた抗体はT細胞!その働き
抗体が4倍に増えると聞いて、何の抗体が増えるんだろうと疑問に思い調べてみました。4倍に増えた抗体は「T細胞」というもの。この「T細胞」とは、ウィルスなどに感染した細胞を見つけて体内から排除する働きがあります。
ウィルスなどに感染した細胞を見つけて体内から排除する働きがあるということは、このT細胞が4倍に増えれば細菌やウイルスが体内に入ってきても、すぐに体外に出してくれて、感染するのを防いでくれる、そんな期待が持てますよね。
午前中にインフルエンザ予防接種をするときの注意
インフルエンザ予防接種を受けてきましたが、病院では予防接種をする時間について「午前中がいい」とはハッキリとは言えないということです。
まだ、研究結果であり、すべての人が午前中にワクチン接種を進められる段階では無いということ。これからも研究を重ねていき、判断していくことが重要だということですね。それに、午前中がいいということだと、午前中にインフルエンザ予防接種をする人が増えてしまい、混雑することが予想されますので、推奨することはしないという話を聞くと、それもそうだと思います。
子供の予防接種を午前中にするのはちょっと待った!
インフルエンザ予防接種を午前中に打つことで、抗体が4倍に増えるなら子供も午前中にワクチン接種したほうが良いというのは、ちょっと待って下さい。
インフルエンザの予防接種をすると副作用(副反応)が出ることがあります。身体の中にウィルスを入れるので免疫反応が起こり、風邪と似た症状が現れることがあります。
【副作用(副反応)】
発熱
だるさ・倦怠感
身体が火照る
などの症状が現れます。子供の場合、午前中にインフルエンザ予防接種を受けて、その後に少し熱が上がり、保育園や幼稚園から「お迎えに来て下さい」とか、学校から子供がだるさから早退して早く帰ってくることがあります。働いているお母さんにとっては、仕事を早退しないといけないことにもなり兼ねませんので、午後の接種をおすすめします。
免疫力低下を実感!
免疫力を高める方法を実践した結果はコチラ
まとめ
私は今回、この研究結果を知る前にインフルエンザ予防接種を受けました。たまたま、午前中に注射をしたのでラッキーと思っていましたが、研究対象が65歳以上で、それ以下の年齢の人にとって同じ結果が得られるのかというのはまた別の問題だと知り、ぬか喜びでした。
でも、色々と調べてみて分かったことは、同じ人間なので、おそらくは午前中に打ったほうが抗体が多くなるのは間違いないように思います。抗体が増えたからと言ってインフルエンザに罹らないということでもありませんが、少しは期待ができるのではという範囲で認識しておくといいと思いますね。