インフルエンザで一番重い症状のインフルエンザ脳症・脳炎。特に免疫力の低い幼児や小児がインフルエンザ脳症・脳炎を引き起こすことがあります。
子供がインフルエンザになり、重症化することも考えて予防や治療をしていくことが必要になります。
インフルエンザ脳症・脳炎についてまとめてみました。
目次
インフルエンザ脳症・脳炎とは?
インフルエンザウイルスの感染に伴い免疫異常が起こることで発症するのが、インフルエンザ脳症。
名前からインフルエンザウイルスが脳に入り込むことで引き起こすものだと勘違いしている人が多いですが、インフルエンザウイルスが脳に入って起こる症状ではなく、ウィルスに対抗しようとした免疫が過剰に働き、脳の組織を破壊してしまう病気です。
インフルエンザ脳症・脳炎になりやすい年齢
免疫力の低い幼児や小児がなりやすく年齢は1歳から10歳頃まで。一番多く発症しているのが5歳から6歳頃の子どもという特徴があります。
乳幼児がなりやすいですが、大人の人でもなる可能性はあります。
インフルエンザ脳症・脳炎の原因
はっきりとした原因はまだ分かっていませんが、統計からA香港型を発症した人になりやすい傾向があるとされています。特に乳幼児や高齢者で重症化する傾向があります。
インフルエンザ脳症・脳炎に解熱鎮痛剤が関係しているのではないかということから、欧米で統計を取り、わずかな可能性ですが関係性が疑われるとされ、その中で、アセトアミノフェン系解熱剤に関しては重症例との差がなかったとして推奨されるようになっています。
インフルエンザ脳症・脳炎の症状
インフルエンザ脳症は発症後、ごく短時間で意識障害やけいれん、異常言動・行動などをおこします。
インフルエンザ脳症が起こる前兆や現れる症状としては、
- 両親がわからない、いない人がいると言う(人を正しく認識できない)。
- 自分の手を噛むなど、食べ物と食べ物でないものとを区別できない。
- アニメのキャラクター・象・ライオンなどが見える、など幻視・幻覚的訴えをする。
- 意味不明な言葉を発する、ろれつがまわらない。
- おびえ、恐怖、恐怖感の訴え・表情
- 急に怒りだす、泣き出す、大声で歌いだす。
インフルエンザ脳症は、発熱してから48時間以内に起こりますが、異常行動が必ずしも脳症が起きているとは限らないようです。
でも、気になる症状があれば、すぐに医療機関を受診することをおすすめします。
インフルエンザ脳症・脳炎の治療法
2005年に厚生労働省研究班より「インフルエンザ脳症ガイドライン」がでており、基本的なガイドラインに基づいて治療が行なわれます。
(1)まず全身状態を改善すること、とくに酸素投与や、脱水、ショック状態の改善、循環動態の管理などをしっかり行います。
(2)次に、けいれんを起こしている子が多いので、これをしっかり止めることが大事です。
この(1)、(2)の段階で、必要ならば人工呼吸管理をします。
(3)脳症の治療としては、(a)抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザなど)、(b)ステロイドパルス療法(ステロイド大量療法)、(c)ガンマグロブリン大量療法などを行い、必要なら(d)脳低温療法(34℃前後)、(e)脳圧を下げる治療、(f)血液浄化療法(交換輸血)などを選択します。
インフルエンザ脳症・脳炎の後遺症に対するリハビリ
- 医師・・・てんかんの治療など
- 理学療法士・・・歩行練習、運動訓練、日常生活への訓練、関節硬直マッサージなど
- 言語療法士・・・言葉の訓練
- 臨床心理士・・・発達への支援と両親のケア
- ケースワーカー・・・学校への復学など
症状により一概には言えませんが、後遺症が出ている症状により違いがあります。機能を少しずつ戻すことになります。
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インフルエンザ脳症・脳炎の予防法
インフルエンザ脳症を予防するには、インフルエンザを予防することが大切になります。手洗い、うがいはもちろんのころ、人混みや外出するときにはマスクをするなどの予防をしましょう。
インフルエンザ予防接種は効果が高い予防法になります。年齢により、摂取量や接種回数が異なります。
1.6ヶ月以上3歳未満の方・・・1回0.25mL 2回接種
2.3歳以上13歳未満の方・・・1回0.5mL 2回接種
2回接種の場合、1回目が3,000円~4,000円、2回目が2,000円~3,000円ほど。地域によっては補助が出たりする地域もありますので、一概に費用は言えませんが目安としてご参考までに。
乳幼児では、大人に比べて効果は弱いですが、ワクチンよりも有効な手段がない現状では、日本小児科学会も接種を勧めています。予防接種には費用負担が掛かりますが、家族全員への接種もおすすめします。