ジョギングやランニングなどの運動を夏の暑い時期にすると夏バテを起こし、予防や対策をしないまま運動を続けると最悪の場合、熱中症になることもありますので、炎天下での運動や暑い時期の運動には対策が必要になります。水分を補給すれば大丈夫と思っている人もいますが、それだけでは十分な夏バテ予防や対策になりません。
運動による夏バテが起こる仕組みを知った上で、対策を行ないましょう。夏はマリンスポーツをする人も多くなりますし、暑いから室内でできるフィットネスジムやスポーツジムで運動する人もいますが、水の中にいても、室内にいても夏バテになりますので対策は必須です。
目次
運動による夏バテの仕組み
激しい運動量のあるスポーツや運動をすれば、疲れが溜まることは当たり前です。それが夏になれば、さらに体力の消耗が激しくなります。運動することで、大量の汗が出ますが、この発汗が夏バテの原因になります。
汗をかくことは上昇した体温を下げるための身体の防衛反応ですが、汗を大量に出すことでバテを引き起こします。体温が上がり過ぎると血液中に含まれる水分が汗腺を通って汗となり皮膚に出て蒸発することで体温を下げます。このとき、塩分にあたるナトリウムは体内に再吸収されますが、汗の量が多くなるとナトリウムの再吸収が追いつかず、汗と一緒に排出されます。そして全身の汗腺は1時間に最大2リットルもの汗を出し、運動をして汗をかき続けることで汗腺の働きも疲労し、体温を下げる働きが追いつかなく夏バテにつながります。
大粒の汗をかいて、汗のかきすぎによる体と脳の疲労が招く夏バテの対策について7つをまとめました。
暑さに強い体作りをする
暑い夏の時期から運動を始めたり、部活の夏合宿、炎天下にずっとさらされる海水浴などに行くと、すぐに疲れてしまったり、熱中症で倒れてしまう人が多かったりします。これは、体が暑さに慣れていないために起こることです。そのため、体を夏の暑さに慣れさせるための準備期間が必要になります。
ランニングなどの有酸素運動を30分以上10日間続けたり、42℃程度の熱めのお風呂での入浴時間を長めにするなどして体温を高める準備期間が必要です。この準備期間のことを暑熱順化といい、発汗機能の変化、汗の成分の変化、血管拡張条件の変化、血液量の増加の効果があり、夏バテおよび熱中症対策になります。
1日に飲む水分量は1.5リットルが目安
1日に人が水分を体外に出す量は2.5リットルです。これは、運動していない状態のときです。運動するときは、大量の汗をかくのでもっと水分の補給が必要になりますが、夏場の通常のときの内訳は、
尿…1.5リットル
便…0.1リットル
呼吸や皮膚…0.9リットル
となっています。1日の食事で1~1.5リットルの水分を摂取することができますので、残りの1~1.5リットルは日々の生活の中で水分補給をする必要があります。
日常の生活の中でも、スポーツ・運動をしているときも喉の渇きを感じてから水分を飲むことが多いですが、喉の渇きを感じた時点で体は軽い脱水症状を起こしている状態です。このとき、一気に水分を飲むことがありますが、一気に飲むと体が水分を吸収することができすに尿として排出してしまう量が増えてしまします。
水分補給の方法は、喉が渇く前に少しずつ飲むのが正しい飲み方です。運動したときや、大粒の汗をかいたときは体内のミネラル分が体外に排出されているので、ナトリウムなどが含まれているスポーツドリンクを飲むことが重要です。
タンパク質を食べて血液中の水分を増やす
体内の水分が汗となり体外に出る仕組みは、血液中に含まれている水分が汗腺を通して排出され、体温を下げる働きをします。血液中で水分を貯める役割を果たしているのがタンパク質のアルブミンです。このアルブミンは、血液量を決める大切な役割があり、1g当たり20mlの水分を貯めることができます。このアルブミンの量を増やすことで血液量を増やし、汗をかいてもすぐに水分不足になりにくく脱水症状の改善につながります。
アルブミンは体重1kg当たり5g程度あります。体内で1日十数gずつ作られますが、役割を終えると分解されてしまうため、タンパク質などを含む肉類などを食べるようにしましょう。夏場になると肉類を食べることが少なくなりますが、食べることで夏バテ予防になりますし、エネルギーにもなり、疲れを取ることも出来ます。
運動時の体重減少を2%未満にする
ジョギングやマラソン、運動したときに体重が減ったと喜ぶことがありますが、体重の2%以上減っているときには脱水症状を引き起こす原因になる可能性があります。
運動して体脂肪が減るのは30~40gだと言われています。これ以上に減っている場合には、体内の水分が減ったことによる体重減少だと考えるべきです。運動する前に水分補給を行ない、運動中は1時間に3回~5回程度水分補給を取り、1リットルを飲むこと。水分量は、そのときの汗の量にもよりますので1つの目安とするといいです。
水分補給をするときは、水道水ではなく糖分や塩分(ナトリウム)を含むスポーツドリンクを飲むことで体内への吸収が速くなります。熱中症を防ぐために、天気予報を確認して警戒レベルの日は、外での運動は避けます。
夏の時期に運動するときのポイント
・天気予報と暑さ指数を確認し、熱中症を避ける
・体重を測る
・運動前に500mlの水分補給を行なう
・運動中は1時間に1リットルの水を3~5回に分けて飲む
・運動後に体重を測り、運動前の体重の2%未満の減少にする
・2%以上の体重減少は水分補給の量が足りていない状態
よく寝ることが夏バテ予防
運動をすると筋肉によって熱が発生します。そして、熱を冷ますために汗をかいて体温を下げようとします。体内の熱は体全体に広がり、一番注意しないといけないのが脳の温度です。
脳は37度で活発に働くようになっていて、これ以上の体温になると脳を冷まそうとする仕組みがあり、脳髄液から血液に熱を移していき脳の温度を下げようとします。もう1つ、睡眠時は脳の働きが抑えられるためクールダウンすることができます。このときにしっかりと寝ることができれば、運動するときに脳内の温度上昇が抑えられるため運動できる時間が長くなりますが、寝不足や寝苦しさがあるときは、脳内の温度が下がりきらずに疲れを感じやすくなり、運動していてもすぐに疲れてしまいバテてしまう結果になってしまいます。
首筋を冷やすことは夏バテ防止に効果的
運動している人だけではなく、外で働いている人や外出するときもそうですが、夏バテ予防に水分補給を行なうことは必要ですが、首に冷たいタオルを巻いておくのも対策として効果があります。首の両側を通っている太い血管を冷やすことで脳内の温度を下げてくれます。外で仕事をする人、室内で仕事をする人、それぞれの効果的な対応は、
外で作業する工事や大工さんなどは、日よけが付いたキャップをかぶり、冷たいタオルを首に巻いて冷やす。
オフィスで仕事中に集中力が切れたり、のぼせたようなボーッとしているときは、水分補給を行ない、首すじを冷やす。
というのがいいです。
おでこを冷えピタなどで冷やす人がいますが、効果がありませんので、暑さを和らげたいのであれば首筋に冷たいペットボトルを当てたりするほうが、身体を冷やすのに即効性があります。
万が一のときの熱中症対策法を知る
夏は熱中症になることがありますので、熱中症になったときの対策法を知っておく必要があります。自分は大丈夫と思っている人が多いですが、大量の汗をかいたり、倦怠感を感じたり、体温が高くなっていると感じたり、筋肉痛を感じたりしたら熱中症の症状なので、意識があるうちに対策しておくことで、重症化することを防げます。
【熱中症対策方法】
・直射日光を避けるため木陰や屋内の涼しい場所に移動する
・シャツやベルトを緩めて風通しを良くして熱を逃がす
・頭や肌を水で濡らしたり、扇風機やエアコンで身体を冷やす
・首、脇下、足の付根を冷たい保冷剤やペットボトルなどで冷やす
・脱水症状を緩和するために経口補水液やスポーツドリンクを飲む
・症状が改善されないときには病院に行く
立つことが出来なかったり、意識がもうろうとしていたり、意識が無かったりする人がいたら、すぐに救急車を呼び、到着するまでに熱中症対策方法で対処しておきましょう。自分で水分を飲むことができない人に無理やり飲ませるようなことをすると危険ですので、ここだけは注意しましょう。
まとめ
身体を少し絞りたいとか、ダイエットしたい、体重を減らしたいと運動を始める人が多くいる時期ですが、夏の暑さにやられてしまい、運動を始めたはいいけど、翌日には体調不良になってしまい、結局続けることができなかったという経験をしたことがあるのではないでしょうか。
夏の時期の運動は、暑さに身体が慣れるまでの期間が必要です。その期間は運動も軽めにしておき、暑さに慣れさせながら、体力アップをしておくことで身体を動かすことを継続することができます。
過剰な汗による身体と脳の疲れが夏バテになりますので、しっかりと対策を行ない、体調を整えておくことが大切です。